古くから人間は意思を伝えるために道具を開発してきました。
つまり道具は身体の一部または身体を拡張したもので
画家にとってはその精神を伝えるのが筆になります。
精神と物質は結びついているわけです。
東洋画/日本画と西洋画では使う筆のタイプが違うのは
東洋と西洋では伝えようとする精神が違うからです。
つまり、、、、、、
「筆選び」はなんとなくしているようですが
それを研究することはかなり大切になってきます。
今日はその筆とタッチについて研究していきます。
筆の種類とタッチ
●毛の種類
豚毛(油絵)/ナイロン(水彩・油彩)/馬毛/イタチ毛(面相筆)/リセーブル毛/山羊毛/狸毛(たぬき)/猫毛/リス毛
●筆の形
丸筆/平筆/先の丸い平筆/刷毛/面相筆/扇筆/ネイル用筆/
まる
●筆のメーカー
クサカベ/BABARA(日本の企業だが?韓国で有名)/ ホルベイン/ARTETJE(日本)
豚毛/平筆/先が少しまる
こちらは豚毛の平筆ですが、先が少し丸いです。
「面」で捉えながらもすこし柔らか味のあるタッチが出ます。果物の面、山の面、石の面などを描く時、質感を出す時に最適です。面として見えるタッチは物の存在感を表すのに最適です。
豚毛/平筆/先が平たい
これは豚毛の平筆で、先が平行です。この筆は一番タッチが荒く出ます。つまり荒々しい面や強い堅固な面を描くのに最適です。岩や崖、堅い岩山の斜面などの表現に最適です。果物でも面を強く描きたい場合にも使えます。コンクリートで出来た建物の外壁などもこのような質感ですね。
豚毛/丸筆
こちらは使い過ぎてすり減りまくってしまった豚毛の丸筆です。ほとんど毛が残っていませんが使えます。絵の具が毛の根元にたまり、固まって堅くなっています。細部の輪郭をぼかしたり、微妙なタッチの調整をするときに使えます。または筆がかなり堅いので絵の具をほじくり返して、下地の色を出すときに有効です。これは抽象画のタッチにも見られます。
これもすり減って毛が残っていない豚毛の丸筆です。少しザラザラしてボケた輪郭を出すのに有効です。木の葉をボカシながら描く時に使えます。これも同様に抽象画のタッチに見られます。
こちらは豚毛の丸筆ですが少しストロークが長いものです。
線の要素が強くなります。山の輪郭線や樹木の葉や枝、色々なところに使えます。私が好きな筆です。
このタッチだけだと絵が単調に見えますが、他の筆と組み合わせることで魅力的なタッチが表現できます。
これは樹木や芝の質感表現に使えます。
丸筆は平筆に比べて線の要素が強くなります。そして面の印象がありません。丸いタッチは何か精神的なものを表現するのに最適です。
ナイロン/丸筆
ナイロンの丸筆は豚毛に比べると荒々しさが全くなく柔らかいタッチになります。こちらの筆は水彩画で主に使用されますが、油絵でも使えます。ですので水彩画には荒々しいタッチがあまりないのですが、繊細で柔らかいタッチは見る人に落ち着きを与えます。
ナイロン/平筆
ナイロンの平筆です。これは主に水彩画を描く時に使いますが、油彩画でも使えます。面で捉える時に、またその面を柔らかく捉える時に使えます。花びら一枚一枚を描く時にもにも使えます。ビルの外壁を描く時にも使えます。この筆で描く直線というのも微妙な味があります。
扇筆/豚毛/ナイロン
絵の具を混ぜてボカす時に使う扇筆ですが、タッチとしても魅力があります。松の枝などのトゲトゲした質感を出すことができます。海の波の形を描くのにも使えます。
東洋画の筆/丸筆
こちらは東洋画/日本画で使う筆ですが。油絵にも使えます。個人的には一番好きな筆たちです。
線を引くのに優れていて、画家の感情を上手く伝達することが出来ます。ストロークが長く適度な弾力性があるので、線に滑らかさと動きを出すことができます。
筆=精神を表す
いかがでしょうか?
見て分かる通り、筆によってタッチが全く異なります。
つまり、、、、自分の表現したい「こと」によって筆を変える必要があります。
逆にいうとこのように表現したい!というイメージがあっても、それにふさわしい筆を使わないと
いくら描いてもそのような感じは現れません。
例えば、堅い煉瓦の家の外壁の感じを出したいのに、
ナイロンの丸筆で一生懸命描いても質感が出ないようなものです。(笑)
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