石膏デッサン&クロッキーの秘訣/人体の構造を捉える

石膏を油彩で描く

こんにちは、いかががお過ごしでしょうか?
今日は石膏クロッキー、特殊な石膏デッサン、石膏像の油彩画をお見せいたします。
石膏デッサンというと美術大学の受験で練習されている方もいるかもしれません。石膏デッサンを上手く描くにはいくつかポイントもあります。またそれに加えて面白く描くこともできます。
3つに分けてポイントを解説していきますね

目次

石膏像のクロッキー

木炭 石膏デッサン
ボルゲーゼのマルス胸像/木炭・チャコールでクロッキー/50x65cm 2002年

ポイント
⓵肩の傾きを捉える
⓶胸の高さを捉える
⓷脊柱(背骨)の頭から肩へかけての中心線の流れを捉える

こちらはマルス像を木炭とチャコールでクロッキーしたものです。時間は30分くらいで描いた気がします。木炭では濃い色が出ませんのでチャコールを利用するとかなり濃い色がでてカッコよくなります。なのでこれは主チャコールを利用して描いています。淡いトーンを木炭でさらにを乗っけることもできます。ここでチャコールの短所は色が消えない!ことです。消しゴムや練り消しで消えません。一発で決めないといけません。(クロッキー向きです)

ポイントについて解説しますね。

⓵肩の傾きを捉える
これはメチャ大切です。つまり左右の肩を結んだ線がどれだけの角度になるかということです。面白いとにこれはデッサンの本質です。つまり肩のラインというのは何気に人間の動きをだしています。例えば、マルスを正面から見て体を全然ねじっていないいない状態ではマルス肩のラインは水平に見えます。ですが、彼が顔が右を見て、体をねじっている状態では必ず傾きが生じます。彼は誰を見ているのでしょうか?

⓶胸の高さを捉える
胸の高さはそれだけで決まるのでなく、肩の高さと比べて下にあるのか上にあるのかで決まります。これをデッサンが上手くない場合、胸だけ見ているので整合性が取れないのです。

⓷背骨の中心線の流れを捉える

人間らしさは背骨のsラインです。私はモデルではないのでsラインが綺麗ではありませんが。このラインの流れを捉えることは石膏の印象を捉えます。これは直線と曲線が混ざっているのでクロッキーでその印象を捉えます。デッサンが下手な場合、部分だけ見て流れが捉えられえていません。流れは全体を見る必要があります。

ボルゲーゼのマルス胸像とは?

マルスとはギリシャ神話での戦いの神です。
そしてこの像はローマ時代に作られました。(ギリシャ彫刻の影響を受けて)
誰が作ったのか確かでありません。なぜかというと、当時、工房でこういったマルスってのはローマ時代のいろいろな彫刻家が、ギリシャ時代のマルス像を模倣して作ってたんですね。なので一人一人のその彫刻家の名前っていうのは残ってないことは一般的でした。で、当時ローマで有名だったボールゲーゼ家っていう美術マニア貴族(16世紀から17世紀)が彫刻を集めてて、この像がコレクションの一部になりました。ボルゲーゼ美術館も元々彼らの別荘だったんです。

この像が日本の美大入試で一般的になったっていうのは、有名で広く知られていたからです。美大入試なんかは共通性がないといけないので、 有名な作品を使うことによって共通感を持たせたといってもいいでしょう。

ミロのヴィーナスデッサン
ミロのヴィーナスのクロッキー
アグリッパのデッサン
アグリッパのクロッキー

こちらはミロのヴィーナスの頭部のクロッキーとアグリッパ像のクロッキーです。どちらも木炭でデッサンをしています。ディーテルを描くよりも、大きな明暗のバランスを捉えるのが大切です。

木彫のデッサン

木炭 石膏デッサン
よねやま氏の作った木彫の木炭デッサン/木炭紙に木炭/2001年

ポイント
⓵肩の傾きと腰の傾きの角度
⓶手前と奥の描写の具合

こちらは私が昔、予備校に通っていた時に描いたものです。予備校に同じく通っていた同期が木で作った彫像がありました。それをモチーフとして木炭デッサンで描きました。彼の作品はクオリティーが高くて、この肩の傾きと腰の傾きがリアルに出ていて、当時の予備校の先生がモチーフに使ってしました

木炭 石膏デッサン

⓵肩の傾きと腰の傾きの角度

よく美大などでいう「造形芸術」という言葉には「モノの構造」を作品で表現するという意味が含まれます。構造というのは角度が重要です。この像は左肩を奥に引いて、右足を前に出しているのです。それを捉えます(下の油絵が分かりやすい)。ですがこの位置からだと左の腰が見えないので、一番難しい処です。感じて描かないといけません。

木炭 石膏デッサン

⓶手前と奥の描写の具合

この角度からでは手前と奥の奥行きが超・生まれます。ですので、全部描いてしまうのでなく、手間はしっかり描写して、奥はなんとなく描写するのがポイントです。上の絵で言うと手前の木の隙間とか、そういうディテールをしっかり描写します。実は奥の部屋の壁は殆ど描いていませんよね。

木炭 石膏デッサン
上部のディテール

石膏像を油彩で描く

石膏を油彩で描く
よねやま氏の作った彫像の油彩画/キャンバスに油彩/60x72cm 2001年

ポイント
⓵肩と腰の角度
②赤色(暖色)と青色(寒色)の使い分け

⓵肩と腰の角度

この位置では目線の高さが胸の高さと同じです。つまりこの角度からだと右の腰は前に出しているので、より下側にあり、左の腰は奥に引いているの右奥に上がっていきます。

②赤色(暖色)と
青色(寒色)の使い分け

じつは何気に像の手前は暖色(赤・ピンク・黄色)で描き奥は寒色(青・紫・緑)で描き分けているのです。これは遠近感を出すためです。色とは面白いものです。ですがあまり考えすぎると色を使うのに途方もない時間がかかってしまいます。ここで、、、、暖色と寒色の中間の曖昧な色というものがあります。緑(青と黄色の中間)そして紫(赤と青の中間)です。あなたはこの色についてどう思いますか?

石膏を油彩で描く
上部ディテール
石膏を油彩で描く
下部ディテール

細部をものすごく描写するより、このような構造をとらえると少ない労力で絵が良く見えます。そうすると他の場所にも気を配る余裕が出来、面白いデッサンを作っていくことが出来ます。

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◆この記事を書いた人

Gemmaのアバター Gemma 源馬久崇ーLandscape Artistー

旅をしながら絵を描いている画家です。
「芸術は人生を豊かにする」ことを信じて活動しています。
大変な時代ですが共に頑張りましょう。

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