形而上学的なノリで描く絵画とは?
みなさんこんにちは。デ・キリコっていうシュールレアリスムの画家いますよね。
イタリアの画家でよく美術の教科書にのってる絵です。
彼の作品はよく形而上学的だともいわれます。
形而上学とは形而下学と対比させられて、簡単に言うと形のない世界、つまりプラトンのいうイデアの世界だったり、天上の世界、魂とかあの世の世界を研究する学問です。
デ・キリコ(1888-1978)
皆さんはこのようなキリコの作品は好きですか?
私は何か神秘的で、昔メチャ好きだったんですね。
では今日は少し現実離れした「形而上学的なノリ」で静物画を描いたのでお見せしようと思います。
納豆に梅干しを入れてみようかな?ぐらいの「ノリ」で描いてますので、あら捜しをしないようにご了承ください(笑)。
こちらは2018年くらいに、美大・受験予備校で講師をしていたときに学生に見せる意味で描き始めた作品です。何故かというと多くの美大受験の静物画はおかれたものをそのまま描いているので、ある意味平凡に見えるからです。
そこで重力を無視して面白い構図を優先させた静物画をコンセプトに描いてみました。
同時に制作過程もお見せしますので、形而上学??にふけって見て下さい。
制作過程・構図を面白くするために絵画を描く
⓵大きな構図を取る
最初に台の上モチーフがあります。そして身の回りのモチーフも台の上に乗っていなくてもモチーフとしてとらえていきます。つまり、、、
自分が座っていた椅子もモチーフとして考え構図を取っていきます。
左上に自分が座っていた椅子を空中浮遊させました。
重力に沿って物が存在しているのですが、重力のままに物が安定した形に立っているのをそのまま描くとなると構図の限界がでてきます。
おかれてある様に描かないといけないからです。モチーフはザ・美大受験みたいなモチーフ何ですが、
右には梨か林檎があります。
このように構図を面白くするためにモチーフを浮遊させたり位置を変えたりすることは全然アリです。
②個々のモチーフを描写し始める
右奥の花瓶(ラベルの赤い)や真ん中の長方形の物体(黒いビニールに入っている)&ホースと左上の浮遊した椅子を描き始めています。
モチーフの描写を魅力的にするには2つの方法があります。
⓵筆のタッチをどの程度荒くするか?/筆のタッチは作者の心の気質や物の質感を表現します。
②明暗のコントラストをどの程度にするか?/光がどのように差し込んでくるか表現します
です。
この⓵と②を変えることで様々な描写のスタイルが生まれてきます。
⓷さらにポイントをディテール描写する
真ん中の長方形のモチーフにのビニールの皺と左の霧吹きをさらに描きました
真ん中にあるモチーフなので人間の視線が集中するため、ある程度描かないと絵のクオリティーが下がって見えるからです。左の霧吹きも同じです。ですが、、、、、絵画ではどの程度リアルに描写するかが一番悩むところです。写真のようにリアルに描けば魅力的かというとそうではないからです。
やはり、大切なのは魅力的な描写をすることです
④完成/光を当たらせる
右から緑の光が差し込んでいるように見せるため、ホースと長方形の右側に緑の光を当てました。
結局右上に浮遊している花は描きませんでした。
先程と変わった点はこの光を当ててたことです。
光を演出することでより絵のコンセプトが確固たるものとなり全体のまとまりが出てきます
このようにこの緑の光は現実に存在していませし、また左右に花が単体で浮遊しているなどということは
夢の中でのみあり得るような状況ですが、絵画の中では椅子が浮遊していてもおかしくないのが面白いところです。
絵画表現とはこのようにいろいろな工夫ができるので、、、、
絵画表現自体が形而上学的な行為だといえるかもしれません。
ディテール描写拡大
こちらは完成作品のディテールを拡大してお見せします。
かなり部分的に荒く描いたり。色彩を平面的に処理しているのがわかると思います。
こちらをみると右奥は青を使って背景を平面的に塗っているのがみてとれると思います。
このように色々な絵画表現に挑戦してみる目的は
自分の好きな表現を目に見えて悟ることができるので、是非挑戦してみてください。
●よければコメントください