パナマで肖像画(油絵)を描く/その②-ホステルのオーナー編

今回も中米パナマで、肖像画の以来をうけてきました。今回依頼を受けたのは停まっていたホステルのオーナーです。ズバリ肖像画の制作過程お見せしますので参考にしてください。



こちらオーナーさんパナマ人なのですが、、、
最初は無口で無愛想な印象を受けました。

しかし、仲良くなると情深くとても信頼感のある方なんですね。

以前のミュージシャンの肖像画を見て「私も描いて欲しい」と言われたので、快くオッケーしました。 

経緯は前回のページを御覧ください。



今回はもっと油絵を描く技術にスポットを当てて、どう描いていくのかなど制作過程をお見せします。

目次

肖像画の下描きは鉛筆

皆さんは下描きは何でしますか?鉛筆?木炭?油絵具?

まあ、それはその人の自由ですよね(笑)

私は鉛筆で下描きをしてしまいます。線も自由に引けるし楽だからです。(笑)


最近はステッドラーというドイツのメーカーの鉛筆をよく使っています。

この鉛筆は少し硬めの鉛筆なのでキャンバスには描きやすいです。

肖像画
肖像画下描き



まず〜顔の輪郭を取り、、暗いところ(影の部分)を一気にがガガガ〜〜〜〜と暗くしていきます

手でゴシゴシしまくり鉛筆の粉をねじりこみます。



下描きは絵の具の黒や褐色でしないいけないとか、印象派みたいに黒を使ってはいけないとか、

いう人もいますが。そんなこと考えてるとめんどくさいし、結局は暗くするので気にしなくていいです。

テレピンで明暗をガガガっと塗ってしまおう!


次に★テレピン(揮発油)で影(陰)の部分をもっと暗く着彩していきます。

テレンピン(turpentine)とはマツの樹脂をベースに作られたすぐ蒸発する油です。

すぐに蒸発しまくるので下描きに最高です。

あと油絵具に混ぜると絵の具を溶かして伸びをよくします。



この段階はディテール描写よりも全体的な影の流れを捉えます。

顔のコントラストを付けていきます。

テレピン下描き
さらに15分ーテレピンで下描き


何かとてもプリミティブな顔になってしまいましたね(笑)

まぁ過程なので問題ないです。



ポイントはテレピン(揮発油)は20~30分で全て蒸発するということです。

つまり最初に塗った色(黒の暗さ)よりも水分が蒸発するので明るくなります

ですので、最初からかなり暗く塗ってしまうことを、お勧めします



また中間色の皮膚の色もある程度テレピンで色を塗ってしまいます。


あまり最初から考えすぎないのが大切です(色とか明暗を性格に合わせないと、いけないなど)。
ストレス溜まりますし意味ないです(笑)



色や明暗は後でいくらでも修正して合わせられるので、ここでは振り子の最初の揺れのごとく、
大きな色や明暗を合わせていきます。まずは色をガンガン乗っけて沢山振り子を大きく揺らしましょう。

中描きー口の表情


次に中描きです。絵の印象となる色をのっけていきます。

これを美術用語でキチョーショク(基調色)といいます。

ここから色の幅(トーンの幅)を広げていきます。

またタッチをうまく使いながら皮膚の緊張感の方向を捉えます。

絵の具下描き
絵の具を少し厚くのっけてく

さてここからリンシードオイル(乾性油)をつかい初めます。

これが使いがってがめちゃいいんですよね。


筆さばきがよくなったり、混ぜると絵の具が、よく伸びます。

このオイルは部屋が暖かかったり太陽の光がよく当たる場所では一日で乾きます

寒かったりすると3日乾かなかったりします。


今は私はオイルについてはテレンピンとリンシードオイルの2つしか使わなくなりました。

正直この2つであらゆる絵を描くのに充分なことが分かったからです。



もちろん特に日本には20種類くらいの世界有数のマニアック極まりないオイルが、
(ダンマルバニッシュ・シッカチーフ・グレージングバニッシュなど、、、、)
売られているので使って見るのも面白いです。(笑)

ディテール描写→完成へ向かおう!

ここからディテール描写に入り絵を着々と、完成させていきます。


ディテールを、描くのが一番神経使いますよね。面白いんですけど一番大変な時間です。

色々考えて手が止まってしまったりもします。



私は特に光を、表現するのにどの色を、置いたらいいか??ということを考えながら色彩を増やしていきます。光を表現できると誰もが好きな絵になります。

油絵ー下描き
顔の表情を細密描写していく



そして、このオーナーはあまりよく笑わないのですが、、、

微笑んでいる顔を描きたかったのです。

それにはどうしたらいいでしょうか、、、、?

、、、、、、



これには口元を横に長く引いた形で描きます。人は笑うと口が横〜〜に開かれるんですね。

油絵ー口

まず顔を完成させました。(私は背景に手を置いて顔の細部を描写するので、背景をまず描いてしまうと手に絵の具がついてしまいます)


そして次に背景を完成させます。

油絵ー背景
背景の色



背景は下地にピンク/オレンジ系の暖色を塗ってから、上に青系(ウルトラマリン/エメラルドグリーン)の色塗りました

下地から暖色がみえるので絵に奥行きがでて現実味がでます。



塗るときはリンシードオイルをたくさん混ぜて少し透明感のある感じを出しました。

人物も背景も厚く塗ると単調
になります。

完成作品!


これが完成作品です。

やはり人物の微妙な表情やディテールの形の違いが描けると絵に深みがでますね。

人物画は完成すると何か生命が宿っているような感じがするので見ていて飽きません。

肖像画ー油絵
ホステルオーナー
肖像画ー顔
顔・描写ディテール
肖像画ー人物
パナマで



皆さんも「肖像画」是非挑戦してみてください。

ではまた次回お会いします。



Ps.絵画教室もやっています。もっと学びたいという方は連絡ください。↓

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◆この記事を書いた人

Gemmaのアバター Gemma 源馬久崇ーLandscape Artistー

旅をしながら絵を描いている画家です。
「芸術は人生を豊かにする」ことを信じて活動しています。
大変な時代ですが共に頑張りましょう。

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